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最高裁判所第二小法廷 昭和42年(オ)1012号 判決 1968年2月23日

上告人

中村鋼材株式会社

上告人

中村哲夫

右両名訴訟代理人

朝比奈新

中尾昭

被上告人

鏑木義雄

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人朝比奈新、同中尾昭の上告理由第一点第一について。

原判決がその主文第三項において、上告人らが被上告人に明渡すべき土地について、第一審判決主文の「別紙第一物件目録記載の土地」という表示を「別紙第一物件目録記載の土地のうち南側の本判決(第二審判決を指す)末尾別紙図面(ハ)(ニ)(ヘ)(ホ)の各点を結ぶ線で囲まれた部分七七・〇五三平方メートル」と訂正したことは所論のとおりであり、第一審判決が右のような表示をしたのは、被上告人がそのように申し立てたためであることは記録上明らかである。すなわち、第一審判決が右のとおり表示を誤まつたのは、被上告人が最初から明渡を求める目的物件の表示を誤まつたもので、その誤謬は当事者の責に属し、裁判所の意思と表現との間には全くくいちがいはないのであるが、被上告人が明渡を求める目的物件はもともと同一で、被上告人がただ最初から明渡を求める目的物件の表示を前記のように誤まつたものであることは本件記録により明らかであるから、このような場合には、民訴法一九四条を準用して、判決の更正をすることができると解するのが相当である。したがつて、原判決のした主文第四項の訂正(更正)は適法である。原判決には所論の違法はない。論旨は採用できない。

同第一点第二について。

第一審判決主文に民訴法一九四条にいう明白な誤謬がある場合、控訴裁判所が控訴棄却の判決をするにあたり、右判決の理由中に理由を示し、主文において右誤謬を更正することのできることは当裁判所の判例とするところである(最高裁判所昭和三一年(オ)第八六九号、同三二年七月二日第三小法廷判決、民集一一巻七号一一八六頁)。所論は独自の見解であり、採用のかぎりでない。

同第二点について。

被上告人の伊藤文夫に対する本件土地の賃貸借契約が賃借権の無断譲渡、転貸を理由として適法に解除された旨の原審の認定判断は、原判決(その引用する第一審判決を含む。)挙示の証拠および説示に照らして首肯できる。所論は原判決の認定と異なるか、原判決の認定しない事実に基づいて独自の見解を述べるものである。引用の判例は本件と事案を異にし、本件に適切でない。原判決には所論の違法はない。論旨は採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(奥野健一 草鹿浅之介 城戸芳彦 色川幸太郎)

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